横浜三塔という建築物を巡ると結ばれる?
横浜の「ジャック」「クイーン」「キング」は、横浜三塔と呼ばれる歴史的建造物の愛称で、それぞれ以下の建物を指します。これらは横浜港のシンボルとして親しまれ、昭和初期に外国船員がトランプのカードに例えて名付けたと言われています。以下に各建物の概要を説明します。
1. ジャック(横浜市開港記念会館)
- 概要: 横浜港開港50周年を記念して1917年(大正6年)に建てられた公共施設。赤レンガと花崗岩を使用したレトロな建築で、東南隅に36メートルの時計塔、西南隅に八角ドーム、北西隅に角ドームが特徴。国の重要文化財に指定されています。
- 建築特徴: 赤レンガ建築の代表例で、内部のステンドグラスはペリーの黒船や開港の歴史をモチーフにした精巧なデザインが魅力。コンサートや結婚式など市民に親しまれる場として利用されています。
- 歴史: 関東大震災で一部損壊後、復元され、戦後は米軍に接収された時期も。2022年から修復工事のため一時閉館し、2024年4月1日に再公開されました。
- 所在地: 横浜市中区本町1-6
- アクセス: みなとみらい線「日本大通り駅」から徒歩1分
- 見学情報: 一般公開は第2水曜日を除く10:00~16:00(無料)。2025年4月26日~8月31日は改修のため休館予定(月曜休館、祝日の場合は翌平日休館)。
2. クイーン(横浜税関本関庁舎)
- 概要: 1934年(昭和9年)に完成した横浜税関の庁舎で、横浜三塔の中で最も高い51メートル。緑青色のイスラム寺院風のドームが特徴的で、エキゾチックな外観が「クイーン」の愛称にふさわしいとされています。
- 建築特徴: 鉄骨鉄筋コンクリート造で、円柱のアーチ構造や市松模様の床など国際的なデザイン。完成当時は横浜で最も高い建物でした。横浜市認定歴史的建造物。
- 歴史: 関東大震災後の復興事業として建設。ドームの銅板屋根は経年で緑青色に変化。1階の「クイーンのひろば」では税関の歴史や密輸に関する展示が見学可能です。
- 所在地: 横浜市中区海岸通1-1
- アクセス: みなとみらい線「日本大通り駅」から徒歩3分
- 見学情報: 資料展示室は10:00~16:00(7・8月は17:00まで)、入場無料。年末年始と第4水曜休館。
3. キング(神奈川県庁本庁舎)
- 概要: 1928年(昭和3年)に建てられた神奈川県庁の庁舎で、高さ約49メートル。五重塔をモチーフにした帝冠様式(和洋折衷)の建築で、重厚な外観から「キング」と呼ばれます。国指定重要文化財。
- 建築特徴: フランク・ロイド・ライトの影響を受けたライト様式で、茶褐色のタイルと幾何学的な装飾が特徴。屋上展望台からは横浜港や他の二塔を眺められ、宝相華のモチーフや折上げ格天井の内装も見どころ。
- 歴史: 関東大震災後の再建で、現役の県庁舎としては大阪府庁に次ぐ国内2番目の古さ。横浜港の守り神として伊勢山皇大神宮の分霊が祀られています。ライトアップや3Dプロジェクションマッピングも人気。
- 所在地: 横浜市中区日本大通1
- アクセス: みなとみらい線「日本大通り駅」県庁口からすぐ
- 見学情報: 展示コーナーは平日9:00~17:15(無料)、土日祝休。屋上展望台は本庁舎公開日(年数回)に限る。
横浜三塔物語
- 伝説: この三塔を一度に眺められる3つのスポット(赤レンガパーク、日本大通り、大さん橋)を1日で巡ると願いが叶うという「横浜三塔物語」が有名。カップルで巡ると結ばれるとも言われます。
- ビュースポット: 各スポットには目印のプレートが設置されており、横浜港の歴史を感じながら散策が楽しめます。毎年3月10日は「三塔の日」としてイベントが開催されることも。
補足
- 横浜四塔: 近年、旧横浜正金銀行本店(現・神奈川県立歴史博物館)のドームを「エース」として加え、「横浜四塔」とする提案もあります(1904年竣工、国の重要文化財)。
- アクセス: 三塔は横浜市中区の関内地区にあり、みなとみらい線「日本大通り駅」から徒歩1~3分で全て巡れます。
- 観光のコツ: 各建物の見学は無料ですが、公開時間や休館日が異なるため、事前に公式サイトで確認を。ジャックのステンドグラスやキングの屋上展望台は特に人気です。
横浜三塔は、横浜の歴史と国際性を象徴する建築物で、港町の風情を楽しみながら巡るのに最適です。どの塔も徒歩圏内にあり、周辺の赤レンガ倉庫や山下公園と合わせて観光するとより充実した体験ができます