シニアになると補聴器が必要になる医学的な理由
1. 加齢性難聴(老人性難聴:Presbycusis)が進行するため
年齢とともに内耳(蝸牛)にある 有毛細胞が少しずつ壊れ、再生もしないため、聞こえが自然に低下します。
特に 高音域から聞こえにくくなるのが特徴で、以下のような症状が起こります。
- 子どもの声や女性の声が聞き取りにくい
- 「さ・た・か行」など高音の子音が聞き取りにくくなる
- 背景雑音があると会話がぼやける
- 聞き返しが増える
👉 有毛細胞は一度失われると回復しないため、補聴器による補助が必要になります。
2. 脳の「聞き取り能力」が加齢とともに低下するため
耳だけでなく、「音を言葉として理解する脳の処理能力」も加齢により少しずつ低下します。
- 雑音下での聞き分けが難しくなる
- 聞いた内容を記憶・理解するスピードが落ちる
- 会話が「早く感じる」
👉 補聴器でしっかり音を脳に届けることは、脳の言語処理能力の低下を防ぐ役割もあります。
3. 内耳の血流低下や代謝低下
シニアでは内耳の血流量が減り、酸素や栄養供給が低下しがちです。
内耳は代謝が非常に高い器官のため、血流低下に弱く、聴力低下が進みます。
👉 高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病がある場合、難聴がさらに進行しやすくなります。
4. 聞こえない状態を放置すると難聴が進行する
長期間「聞こえにくい状態」を放置すると、脳が音の処理をする能力がさらに落ちるため、
**補聴器をつけても十分に聞き取りが回復しない“聴覚デプライベーション(聴覚の廃用)”**が起こります。
👉 つまり、
聞こえない期間が長いほど治りにくくなる → 早めの補聴器装用が重要
これは眼の「老眼」でメガネを早めに使うと生活が楽になるのと同じ考えです。
5. 生活上の安全のため
シニアになると、聞こえにくいことで以下のリスクが増加します。
- 車や自転車の接近音に気づきにくい
- 火災報知器・インターホンに気づかない
- 転倒時の周囲の声や警告が聞こえない
👉 補聴器は生活の「安全装置」としても非常に重要。
6. 難聴は認知症のリスク最大因子
医学的に、難聴(特に軽度〜中等度)の放置は
認知症の最大の可変リスク因子であることが広く認められています。
理由は:
- 聞こえにくい → 社会的交流が減る
- 脳に入る音刺激が減る → 脳萎縮が進む
- コミュニケーション低下 → 認知負荷が増える
👉 補聴器は 認知症予防の有力な介入 として国際的にも推奨。


