出版不況と言われながらも、公共図書館や学校図書館は「安定した買い手」としての側面を持っています。
ただ、現実には「図書館があれば必ず一定数が売れる」というほど単純ではなく、最近は自治体の予算削減や「複本問題(ベストセラーの買い占め)」など、シビアな状況もあります。
現在の日本の図書館数と、出版時の「最低買い切りライン」の目安を整理しました。
1. 日本の図書館と学校の数(2024〜2026年目安)
本が「売れる先」としての母数は以下の通りです。
| 施設種別 | およその施設数 | 備考 |
| 公共図書館 | 約3,300館 | 自治体が運営。新刊購入のメイン。 |
| 小学校 | 約18,500校 | 児童書、学習参考書の主要な市場。 |
| 中学校 | 約9,800校 | ヤングアダルト、図鑑などが対象。 |
| 高等学校 | 約4,700校 | 専門書や文学、実用書も含まれる。 |
合計すると、学校図書館だけでも約33,000箇所、公共図書館を合わせれば約36,000箇所もの「本を置く場所」が存在します。
2. 最低どれくらい売れるのか?(買い切りの実態)
「出版すれば図書館が買ってくれる」という期待値については、ジャンルによって大きく異なります。
専門書・学術書(初版 1,000〜2,000部)
- ターゲットが狭い専門書の場合、全国の主要な公共図書館(約800〜1,000館)が1冊ずつ買うだけで、初版の半分以上が消化されます。
- 出版社にとっては、この「図書館需要」があるからこそ、採算度外視に近い専門書を出版できるという側面があります。
児童書・図鑑(初版 3,000部〜)
- 学校図書館には「学校図書館図書整備等5か年計画」などの予算があり、国から地方交付税が配分されています。
- 良い児童書であれば、全国の小学校の数パーセントが買うだけで数千部が確実に出ます。
一般書(ビジネス書・文芸書)
- ここが一番厳しいところです。公共図書館は「リクエスト」に基づき購入することが多いため、無名の著者の本は1冊も買われないことも珍しくありません。
- 逆に、ベストセラーになると1つの図書館で10冊以上予約待ちが出る「複本問題」が起き、出版社側からは「図書館で貸し出されるせいで、個人が本を買わなくなる」という悲鳴も上がっています。


