「貧乏法治国家・日本」──崩れる中流、固定される階級

「貧乏法治国家・日本」──崩れる中流、固定される階級

はじめに

かつて「一億総中流」と言われた日本は、いまやその面影を失い、「安い国」「貧しい国」と称されるようになった。日本は格差社会を超えて“階級社会”という新たな段階へ突入しつつある。そして、その現実を法治国家という体裁のもとで容認・助長している姿が、「貧乏法治国家・日本」という皮肉な言葉を象徴している。


1. 成長しない賃金、肥大化する内部留保

1998年から2023年にかけて、日本の時間当たり生産性は30%上昇したにもかかわらず、実質賃金は横ばい。アベノミクス以降、企業の利益剰余金は倍増したが、人件費の増加はごくわずかだった。これは明らかに「企業ファースト」の姿勢であり、政府もそれを是正する強い政策を打ち出せていない。

法治国家として本来あるべき「国民生活の向上を保障する枠組み」が機能不全を起こしている。


2. 非正規・隙間労働の常態化と貧困ビジネス

コスト削減を最優先する企業戦略の中で、正社員の仕事が非正規に置き換えられ、安定的な雇用は失われた。さらに、「タイミー」などの隙間バイトサービスは利便性の裏で、個人情報の過剰な収集と、構造的な貧困ビジネス化が進んでいる。

一見、自由で柔軟な働き方のように見えて、実態は「抜け出せない貧困の罠」だ。労働者の基本的権利を守るべき法治国家が、むしろ貧困の温床を野放しにしている。


3. 世代間格差と「固定化された階級」

就職氷河期に社会に出た世代は、外的要因で正社員になれず、その後の人生でずっと低収入・低保障に苦しんでいる。年収格差、手取り格差、教育格差、結婚格差、貯蓄格差、年金格差…すべてが「努力では乗り越えられない壁」として彼らの前に立ちはだかる。

これはもはや「格差」ではなく「階級」である。しかもそれが親から子へと連鎖する、現代版カースト制度。機会の平等が崩れた法治国家は、形骸化した“貧乏法治国家”に他ならない。


4. 富裕層だけが勝ち続けるシステム

三菱商事や伊藤忠商事といった一部の勝ち組企業では、年収2000万〜3000万円がごく一部の社員に与えられ、評価次第ではさらに高額報酬が支払われる。これに対し、大多数の庶民は物価高・低賃金・社会保険料の増加に苦しむ。国家が容認する「企業による選別的な富の分配」は、まさに階級社会の証拠だ。


結論:再び「中流」をつくれるのか?

日本はかつて、強い中間層の存在によって安定した社会を築いてきた。しかし現在、格差は放置され、階級は固定され、若年層は夢を持てず、氷河期世代は見捨てられ、高齢者は蓄えがなく不安な老後を迎える。そうした現状を法制度も政策も変えられていない。

このままでは、日本は「豊かな社会の仮面をかぶった貧困国家」に転落し、世界からの信頼も影響力も失い続けるだろう。

いま必要なのは、法治国家として国民の生活を守るための強い覚悟と、格差是正に向けた実効的な制度改革である。