チャールズ・ハップグッド(Charles Hapgood, 1904–1982)

チャールズ・ハップグッド(Charles Hapgood, 1904–1982)とは

チャールズ・ハップグッド(Charles Hapgood, 1904–1982)は、アメリカの歴史学者で、地質学や考古学の主流学説とは異なる大胆な仮説を提唱したことで知られています。特に有名なのが「地殻移動説(Earth Crust Displacement)」です。以下、詳しく整理します。


1. 地殻移動説の概要

  • 基本的な主張

    • 地球の地殻(岩石圏)全体が、一枚の殻のように滑るように移動することがある。

    • 移動速度は数千年単位で数千キロメートルに及ぶ可能性がある。

    • その結果、大陸や海洋の位置が急激に変わり、大規模な気候変動や文明の崩壊を引き起こした、というもの。

  • 提案されたメカニズム

    • 極地方に氷が大量に蓄積すると、地球の自転に伴う遠心力のバランスが崩れる。

    • そのストレスがある臨界点に達すると、地殻全体がリソスフェアごと滑り、赤道に近い方向へずれる、と考えた。


2. 背景と著作

  • 代表的著作

    • 『The Earth’s Shifting Crust』(1958)

    • 『Maps of the Ancient Sea Kings』(1966)

  • 『The Earth’s Shifting Crust』では、過去1万年程度の間に大陸が大きく移動した可能性を論じ、氷期や洪水伝説との関連を示唆。

  • 『Maps of the Ancient Sea Kings』では、ピリ・レイスの地図など古代地図を分析し、南極大陸が氷に覆われる前の海岸線を描いた「古代の高度文明」があった可能性を指摘。


3. 支持と影響

  • アルバート・アインシュタインの序文

    • 初期の著作にはアインシュタインが序文を寄せ、「完全に否定できない仮説」と一定の興味を示した。

    • ただし、アインシュタインも「証拠が十分ではない」と慎重な立場だった。

  • 20世紀半ばには、一部のオカルト・疑似科学的な分野やニューエイジ思想家、または超古代文明説を支持する層に影響を与えた。


4. 科学的評価と批判

  • プレートテクトニクスとの対立

    • 1960年代以降に確立したプレートテクトニクス理論(地殻は複数のプレートに分かれて動く)により、地殻移動説はほぼ否定された。

    • 地球物理学的に「地殻全体が一枚岩のように急激に滑る」ことを説明するエネルギーや摩擦の問題が解決できない。

  • 証拠不足

    • 急激な地殻全体の移動を示す地質学的・古地磁気学的証拠が見つからない。

    • 氷床の分布や気候変動はプレート移動・軌道要因・海流変化などで説明可能とされる。


5. 現代への影響

  • 超古代文明説、ポールシフト(地軸急変説)、アトランティス伝説など、オカルトやスピリチュアル系の話題で引用され続けている。

  • 大衆向けのドキュメンタリーやネット上で「南極の氷床下に失われた文明がある」などの話題が出る際、ハップグッドの名前がしばしば登場。


まとめ

チャールズ・ハップグッドの地殻移動説は、

  • 「地殻全体が短期間で数千キロ移動する」という大胆な仮説

  • 1950年代当時は注目を浴びたが、プレートテクトニクス理論の確立で科学的には支持を失った

  • それでも「古代高度文明」や「ポールシフト」などのロマンをかき立てる要素として、今もオカルト・疑似科学的分野では語り継がれている