司法書士に依頼できる簡易裁判とは?
司法書士は、主に不動産登記や商業登記などの書類作成を専門とする法律専門家ですが、2003年の司法書士法改正により、一定の条件を満たした司法書士(認定司法書士)は、簡易裁判所で取り扱う特定の民事事件で依頼者の代理人として活動できるようになりました。これを「簡裁訴訟代理等関係業務」と呼び、身近な少額トラブルを迅速に解決するための制度です。以下で詳しく説明します。
1. 依頼できる事件の概要
- 対象裁判所: 簡易裁判所(全国の地方裁判所の支部や単独の簡易裁判所)。
- 対象事件: 民事事件で、訴訟の目的となる物の価額(請求額)が140万円以下のもの。主に金銭をめぐるトラブルが多く、以下のようなものが該当します。
- 貸金(借金の返済)や売買代金の請求。
- 家賃・敷金・礼金の返還請求。
- 損害賠償(交通事故の軽微なものや商品の瑕疵など)。
- 支払督促(債務の支払いを求める簡易手続き)。
- 少額訴訟(60万円以下の金銭請求で、1回の審理で迅速に解決)。
- 対象外の例:
- 140万円を超える請求事件(地方裁判所管轄)。
- 家事事件(離婚・相続など)、行政事件、刑事事件。
- 強制執行(判決後の財産差し押さえ)や控訴審(上級裁判所)。
これらの事件は、日常生活で発生しやすい「少額の金銭トラブル」が中心で、簡易裁判所は手続きを簡略化して迅速に解決することを目的としています。
2. 司法書士の役割(代理業務の内容)
認定司法書士は、依頼者の代理人として以下の業務を行えます。依頼者が自分で裁判に出廷する必要がなく、プロに任せられる点がメリットです。
- 書類作成と提出: 訴状、答弁書、準備書面などの裁判書類を作成・提出。簡易裁判所では、口頭での訴え提起も可能ですが、司法書士は詳細な書類でサポートします。
- 法廷代理: 口頭弁論期日に出廷し、依頼者の代わりに主張・立証・尋問を行います。簡易裁判所のルール(例: 陳述擬制の柔軟適用)を利用して効率的に進めます。
- 交渉・和解: 裁判外での和解交渉や、裁判中の調停代理も可能。
- 本人訴訟支援: 代理権を使わず、書類作成やアドバイスだけを依頼する場合も対応(高額事件でも可)。
注意: すべての司法書士が代理業務をできるわけではなく、法務大臣の認定を受けた「認定司法書士」に限ります。認定には、司法書士資格取得後、特別研修と認定試験(合格率約70%)が必要です。通常の司法書士は書類作成のみ可能です。
3. 依頼の流れ(簡易裁判の例)
- 相談・依頼: 司法書士事務所で事件内容を相談。請求額が140万円以下か確認。
- 書類準備: 司法書士が訴状を作成し、裁判所に提出(印紙代・郵便切手代は別途)。
- 審理: 期日が設定され、司法書士が出廷。1〜数回の審理で判決(少額訴訟なら1回)。
- 判決後: 勝訴時は執行手続き(ただし、司法書士の代理権は簡易裁判所限定)。
簡易裁判所の特則により、地方裁判所より手続きが簡易で、迅速(数ヶ月以内)です。
4. 依頼費用の目安
費用は事務所や事件規模により異なりますが、相場は以下の通り(税抜、2025年時点の参考値)。
- 訴状作成のみ: 3万円前後。
- 代理人としての訴訟全般: 5万円前後 + 成功報酬(回収額の8〜20%)。
- 裁判所費用: 請求額に応じた印紙代(例: 60万円請求で約1万円) + 郵便切手代。
詳細は各司法書士事務所で確認を。初回相談無料のところが多いです。
5. メリットと注意点
- メリット: 弁護士より費用が抑えられ(弁護士の簡易裁判代理は10万円以上が相場)、身近なトラブルに特化。司法書士の書類作成スキルが活き、依頼者の負担が少ない。
- 注意点: 複雑な事件や高額時は弁護士に相談を。認定司法書士か確認(日本司法書士会連合会のサイトで検索可能)。
具体的なトラブルがある場合、地元の司法書士会(例: 東京司法書士会)で無料相談をおすすめします。
より詳しい情報は法務省の公式サイトを参照してください。


