電電ファミリー御三家(NEC、富士通、沖電気)の概要とNTTとの関係
これら3社は、電電公社時代からNTTの通信機器供給の約80-90%を担い、電話交換機や伝送装置の開発・納入で「御三家」と呼ばれました。
NTTの設備投資依存が強く、3社で市場を分け合う寡占状態でした。民営化後も、5G/6GやIOWN(革新的光・無線ネットワーク)などの先進プロジェクトで提携が続いていますが、スマホ事業の撤退などで一部「一家離散」の様相も見せています。
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企業名 |
設立年・本社 |
NTTとの主な関係・役割 |
詳細・特徴 |
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NEC(日本電気株式会社) |
1899年、東京 |
NTTの基幹通信機器(交換機、ルーター、5G基地局)の主要サプライヤー。電電公社時代に交換機市場の約30%をシェア。2020年にNTTがNEC株を大量取得し、実質筆頭株主化。共同で5G/6G開発を推進中。 |
通信インフラのほか、顔認証や量子コンピューティングも強み。NTTドコモのガラケー時代に特注機器を供給し、売上の約20%をNTTグループ依存。近年はNTTの「電電ファミリー再結集」戦略の中心で、2024年時点でNTTとの共同プロジェクトが急増。浮動株比率92%と高く、NTTの影響力が強い。 |
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富士通株式会社 |
1923年、東京 |
電話交換機・ネットワーク機器の供給で電電御三家の筆頭(シェア約40%)。NTTのIOWN構想で光伝送技術を提供。2021年にNTTと戦略提携し、6G開発を共同推進。 |
通信以外にPCやスーパーコンピューターで知られるが、NTT売上依存は約15%。民営化後、スマホ事業で韓国勢に敗北しNTT依存を強めた。浮動株比率87%で、NTTの株主提案に敏感。2024年現在、NTT西日本向けのクラウド・セキュリティシステムを納入中。 |
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沖電気工業株式会社(OKI) |
1881年、東京 |
電話交換機やプリンターの供給で御三家の一角(シェア約20%)。電電公社時代に中小規模交換機を専門。NTTの無線アクセス機器やセキュリティシステムを提供。 |
通信機器のほか、ATMや選挙システムが主力。NTT依存度は約10-15%と相対的に低いが、電電四社(NEC・富士通・日立・OKI)の末っ子として「身の程知らず」の挑戦精神で知られる。2020年代に入り、NTTの5G関連で復調。浮動株比率が高く、NTTの提携に積極的。 |
なぜ「三羽烏」と呼ばれるのか? 歴史的背景
- 電電公社時代(1952-1985年):公社が通信独占で巨額投資を行い、NEC・富士通・OKIが交換機などの「心臓部」を供給。3社で市場をほぼ独占し、「御三家」として安定した下請け関係を築きました。公社の「息子たち」として保護・育成され、業界のブラックボックス化を象徴。
- 民営化後(1985年以降):NTT分割で工事分野が専門化。機器供給は3社が継続する一方、現場工事はコムシスなどの新興グループへ移行。結果、「三羽烏」の呼称は文脈により使い分けられます(機器:NEC等、工事:コムシス等)。
- 現在の状況:NTTのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進で、3社は再び脚光。2020年のNTT-NEC提携や2021年のNTT-富士通提携が象徴的。OKIもNTTのサプライチェーンに欠かせず、5G基地局で貢献。ただし、グローバル競争激化でNTT依存のリスクが指摘されています。