フェルミ推定とは?
フェルミ推定(Fermi Estimation)は、限られた情報をもとに論理的な推論を行い、大まかな数値を概算する方法です。物理学者エンリコ・フェルミにちなんで名付けられました。フェルミは、複雑な問題を単純なモデルに分解し、オーダー(桁)レベルでの概算を行うことで知られています。
フェルミ推定の例
典型的な例として、「東京都内にピアノの調律師は何人いるか?」を考えてみます。
- 東京都の人口は約1,400万人(ざっくりとした前提)
- 1世帯あたりの平均人数は約2.5人 → 世帯数は 1,400万 ÷ 2.5 = 560万世帯
- ピアノを所有している世帯の割合を仮に10%とする → ピアノ所有世帯は 560万 × 10% = 56万世帯
- ピアノ1台あたりの調律頻度は年1回
- 調律師1人あたりの年間対応件数を1日2件、年間250日稼働と仮定 → 2 × 250 = 500件
- 必要な調律師の数は 56万 ÷ 500 = 1,120人
このように、フェルミ推定では、明確なデータがなくても論理的なステップを踏むことで概算を導き出せます。
フェルミ推定のポイント
- 問題を分解する:大きな問題を、小さく考えやすい要素に分ける。
- 適切な仮定を置く:現実的な範囲で数値を推測する。
- オーダー(桁)の精度を意識する:正確な数値よりも、おおよその規模感を把握することが目的。
- 現実と照らし合わせる:推定した結果を、既知のデータと比較して妥当性を確認する。
フェルミ推定が活用される場面
- コンサルティング・IT企業の面接
- ビジネス戦略の立案
- 新規事業の市場規模分析
- 投資判断(例:「国内のEV充電スタンドは今後何倍に増えるか?」)
シンプルながらも、論理的思考力や仮説構築力が求められるため、練習することでビジネスにも活かせます。