免疫療法のオプシーボ
オプジーボは、小野薬品工業株式会社が開発した革新的ながん免疫療法薬です。この薬剤は、体内の免疫システムを活性化させることで、がん細胞と闘う能力を高めます。
オプジーボの特徴
オプジーボは「免疫チェックポイント阻害薬」として知られており、T細胞の免疫ブレーキを解除する働きがあります。
具体的には、以下のようなメカニズムで作用します:
- PD-1と呼ばれるT細胞のアンテナに結合
- 抑制信号をブロックし、免疫のブレーキを解除
- T細胞のがん細胞攻撃能力を回復
この作用により、患者自身の免疫システムががん細胞を効果的に攻撃できるようになります。
適応症と承認状況
オプジーボは、日本において2014年9月に最初の承認を受けて以来、複数のがん種に対する治療薬として承認されています。
主な適応症には以下が含まれます。
- 根治切除不能な悪性黒色腫
- 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
- 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
- 再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
- 治癒切除不能な進行・再発の胃癌
最近では、2024年2月に根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍に対する効能又は効果の追加承認を取得しました。
投与方法
オプジーボの一般的な投与方法は以下の通りです。
- 通常、成人に対して240mgを2週間間隔または480mgを4週間間隔で点滴静注
- がんの種類や治療段階によって、投与量や間隔が調整される場合がある。
まとめ
オプジーボは、従来のがん治療法とは異なるアプローチで患者の免疫システムを活性化し、がん細胞と闘う能力を高める革新的な治療薬です。複数のがん種に対する効果が認められており、がん治療の新たな選択肢として期待されています。
オプジーボ(オプジーボ点滴静注)の費用は、薬価によって以下のように設定されています。
- 20mg:27,130円/瓶
- 100mg:131,811円/瓶
- 120mg:157,660円/瓶
- 240mg:311,444円/瓶
実際の治療費は、患者の体重や投与量、治療期間によって変動します。一般的な投与方法では、成人に対して240mgを2週間間隔または480mgを4週間間隔で点滴静注します。
患者の自己負担
健康保険制度により、患者の自己負担額は軽減されます:
- 通常の場合、1割から3割の自己負担となります。
- 高額療養費制度により、月々の自己負担額には上限が設けられています。
- 所得に応じて、最大で月額約25万円、低所得者の場合は月額3万5,400円程度になることがあります。
医療保険財政への影響
オプジーボの高額な薬価は医療保険財政に大きな影響を与えるため、薬価の引き下げが行われてきました:
- 2014年の収載時から2020年までに、薬価は76.2%引き下げられました。
- 2020年11月時点で、100mg1瓶あたりの薬価は17万3,768円に引き下げられました。
オプジーボの高額な治療費は、医療費の増大や保険制度の持続可能性について議論を呼んでいます。患者の生存期間延長という効果と、高額な治療費のバランスをどう取るかが課題となっています。